歯科治療・検診
当院には小動物歯科研究会に所属するレベル認定取得獣医師がおります。
不正交合・口内炎・歯周病・腫瘍など各種口腔内疾患の治療に精通しております。
たかが歯、されど歯で、犬・猫で多い歯周病が心臓病、脳血栓、腎臓病を引き起こすことがあるのは御存知でしょうか?口の中の健康は、全身の健康につながるのです。是非、歯科検診を受けてみましょう。

歯科用レントゲン
口腔内専用レントゲンです。
歯、顎骨、鼻腔内の検査に用います。口腔内に関しては、通常のレントゲンでは検査できない部位の撮影が可能です。
歯科診療には欠かせない装置です。


デンタルユニット
歯科処置、口腔外科治療に使用します。

デンタルユニット
歯科処置、口腔外科治療に使用します。

超音波スケーラー
超音波を利用して歯石を壊します。先端のチップを使い分けることで、歯肉を傷めずに、歯肉縁下の汚れを除去できます。
無麻酔で行う歯石除去処置について
当院では、歯石除去処置を無麻酔で行う行為を推奨しておりません。
愛犬・愛猫の口腔内の衛生意識・関心は、年々高まってきているように感じます。
口臭、歯磨き方法の相談もよく受けるようになりました。
各種デンタルケア用品も増加しており、口腔内の清浄化も健康管理の一つとして位置づけられるようになってきたことは、本当に素晴らしいことだと思います。
一方で、歯石除去(スケーリング)を無麻酔で行うことを宣伝・推奨しているような動物病院・ペット施設が増えていることを、私の所属する「日本小動物歯科研究会」では大変危惧し、先日行われた総会でも、非常に危険な行為であると問題提起されました。
「無麻酔下での歯石除去処置」について、日本小動物歯科研究会及び、世界的な見解を研究会のホームページで詳細に説明しておりますので、是非、皆様ご覧になってください。
リンク先:日本小動物歯科研究会
歯科診療の例
外科矯正
犬や猫は生後4カ月頃から乳歯の脱落が始まり、生後6カ月頃永久歯列が完成します。
この時期、乳歯遺残や上顎と下顎のサイズのアンバランスさや乳歯の脱落・永久歯の萌出障害から不正咬合が生じる事があります。生後6カ月頃までは歯周靭帯がやわらかいため、咬合を外科的に改善することが可能です。

治療前
上下の乳犬歯遺残があり、上顎永久犬歯が本来より吻側に、下顎永久犬歯が本来より舌側に位置しています。
このまま放置すると永久歯が上顎にぶつかってしまいます。

治療後
乳歯抜歯を行い、永久歯を外科的に移動させました。(この後、永久歯が完全萌出するとより咬合は改善されます。)
歯周病(歯槽膿漏)の治療
犬や猫では非常に多い口腔内疾患です。
細菌感染により、歯周靭帯や周囲の顎骨を溶かしていきます。歯磨きや定期的な除石で予防が可能です。

治療前
歯石が全体に重度に付着し、歯肉が退行や炎症が重度です。

治療後
歯石の除去、動揺していた歯を抜きました。
ポケットが深い歯では歯肉縁下の汚れも除去後、レーザー照射を併用することで炎症を軽減させます。
この後、吸収糸で縫合し、抜歯窩を埋めることで、骨の再生を促します。
う歯(虫歯)の治療
数年に一度しか遭遇しないほど犬・猫では非常に珍しい口腔疾患です。
この犬は、痛みと顔の腫れを訴え、来院しました。下顎第一後臼歯にう窩が認められています。
レントゲンで同部位にエナメル質の欠損を確認しました。
口腔専用レントゲンではこのように歯のみを撮影でき、口腔疾患の診断には非常に有用です。


口内炎の治療
口内炎には、いくつかのタイプがあります。原因や経過によって治療方法が異なります。
特に猫で多く治りにくいのが、免疫過剰型の口内炎です。早期に適切な治療を行う事が根治のポイントになります。
歯肉過形成症の治療
歯肉が異常に盛り上がることで、仮性歯周ポケットが生じここにプラークが蓄積することで、歯周病を発生しやすくします。腫瘍性疾患との鑑別が重要な病気です。
治療前
歯肉が異常に盛り上がっています。


治療後
過形成部分を切除しました。


腫瘍の治療
口腔内に発生する腫瘍には、悪性のものも多く早期発見が重要です。
発生部位や悪性度に応じて、外科手術、放射線治療、化学療法を組み合わせて行います。
まずは、レントゲン検査と組織検査を行います。口腔内腫瘍に関しては、CTよりも歯科用レントゲンの方が骨や歯の変化を確認するのに有用なことが多いようです。

上顎に発生した腫瘍です。
悪性だったため、骨、歯を含めて一括切除しています。
※こちらで診断、治療が困難な病気はアメリカ歯科専門医の奥田綾子先生に診療・コンサルティングを依頼しています。